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京都大学地球工学科国際コースについて [まとめ]

 

*以前もこれについて書きましたが、久々にブログ開いたら想像以上にアクセス数が多かったので丁寧に書き直そうと思います。非常に適当かつ稚拙に書いていたので、まじめに参考にしている学生には申し訳ない...。

 

地球工学科国際コース 

1. 地球工学科とは?

2. 国際コースとは? 

3. 国際コースのカリキュラム

4. メリット・デメリット

5. 授業について

6. 国際コースの入り方

7. 個人的な所感

8. FAQ

 

このコースは2011年4月にスタートしました。私は2017年入学の7代目です。現在は9代目まで在籍しています。ちなみに私は現在、日本にはおらずシンガポールに1年間の交換留学をしています。

 

1. 地球工学科とは?

京大の工学部には6つの科があります(情報学科・電気電子工学科・物理工学科・工業化学科・建築学科・地球工学科)。その一つが地球工学科で、土木・資源・環境の3分野で成り立っています。

 

2. 国際コースとは?

地球工学科は土木・資源・環境の3つのコースに分かれており、通常は3回生に上がる際に成績と希望を参考にコース配属されます。国際コースのカリキュラムは土木コースに即しています。土木コース(100人)+国際コース(20人)、環境コース(40人)、資源コース(40人)というのが実際のコース分けです。しかし、3回生時に選択するのではなく1回生の入学時にコース配属されます。したがって、3回生時にコース分属はなく、4年間同じコースに在籍し続けることになります。便宜上、国際コースから見た土木コースを日本語コースと呼ぶこともあります。

土木というとよくわからないかもしれませんが、端的に言ってインフラです。私のイメージですが、土木=インフラ整備(ハードの整備)+計画系(ソフトの整備)。インフラはご想像の通り、ダム、道路、沿岸整備など。計画は都市計画・防災や交通マネジメントなど。

 

  

 3. 国際コースのカリキュラム

基本的な情報をまとめていきます。

すべての授業が英語。

・プレゼンやディベートといった発表・参加型の授業が多め。

・クラスのキャパシティーは20人ほど。

・日本人は10人までは入れる。(後述:国際コースの入り方)

・留学生がクラスの半分以上。国籍はアジアがほとんど。たまにエジプトやモンゴル、ブラジルなど。

・カリキュラムは日本語の土木コースと同じだが、授業スタイルに大きな差有り。国際コース独自の授業もある。

・出席点の比率が高め。

・3年夏に海外インターンシップがある。

卒業論文が英語。

 

 

4. メリット・デメリット

メリット

・学部では京大唯一の国際コース。

・英語はできるようになる。特にスピーキングは大幅に。

・基礎~応用のプレゼンスキル・ディベートスキルがつく。

・留学生と深くかかわり、文化的な差を密に感じることができる。

・少人数のためクラス仲がとても良い。

・外国人教諭が教える授業が多い。

・集まってくる学生は面白い人、優秀な人、高い理想の人が多い。

・最近は交換留学に加え、海外の大学院に進学する人もいる。

・授業に出さえすれば単位をとるのは難しくない。

・就職は強い。

ドロップアウトしても最悪、日本語コース(土木コース)に移動できる。

・日本人教員と違い、授業資料をオンラインで配布してくれることが多い。

・先生や事務の職員が何かとバックアップしてくれる。

 

デメリット

・課題の提出、出席、発言が重視される授業が多いため、授業をさぼることは難しい。

・部活動との両立は極めて厳しい。不可能ではないが大変。

・日本人のドロップアウトが毎年1~2人いる。

・英語での授業に慣れていない日本人の教員もいる。

 

 

5. 授業について

国際コースの学生は授業と教員がほとんど毎年固定なので、裁量の余地はほとんどありません。一般教養の人文・社会系科目のみ自分で選んで取ることになります。

 

<一般教養>

1,2回生の授業はほとんど外国人教員が担当します。自然科目(力学など)、英語科目(学術英語・プレゼン・ディベート・ディスカッション)、情報科目(プログラミング・LaTeX)は土木科の外国人教諭が担当しています。数学(線形代数微分積分)に関しては数学科の外国人教諭、人文・社会系科目などの教養科目に関してはそれぞれの研究科の外国人教諭が担当しています。

多くの授業で毎週か隔週で課題が出ます。特に、線形代数微分積分は毎週レポートを出さなければならず、毎年ひーひー言いながらみんなで徹夜で解いてました。また、基本的にどの授業も欧米式の授業スタイルを真似しているので、発言・プレゼン・レポート+テストが主な評価材料です。1.2回生時の思い出はプレゼンと共にあると言っても過言ではありません。プレゼン、レポート、プレゼン、レポート…。なんなら微積でさえ黒板に自分の解答を書いて発表せねばならず。

ちなみに、第二外国語とスポーツだけは日本語で授業を履修できます。私は朝鮮語を取っていたのですが、2コマ中1つは韓国人の教員だったので、ほとんど日本人教員の授業はありませんでした。振り返れば、ひたすら課題に追われ、プレゼンした二年間だったと思います。しかし、後述しますが私の今までの人生において一番急ピッチで力がついた期間だと思います。

 

<専門科目>

2回生後期から主に始まる土木専門科目は土木科の外国人教諭に加え、日本人教諭が担当しています。外国人教諭が担当している授業ではグループプロジェクトや、発言が求められる授業があります。一方で、よりペーパー試験重視になります。いくつか本当にちゃんと勉強しなければとれない科目もありますが、ほとんどの授業は内容的に他の学科より楽だと思います(英語であることを除けば)。基礎科目のうち、水系・地盤系の科目のテストの多くは日本語コース(=土木コース)のテストを英訳したものです。実験は日本語コースと合同で行いますが、グループは国際コースで作ります。

3回生からは頑張って英語で専門科目の勉強をがりがりする、というイメージが強いです。当然、出席よりもテストの点数が重視されます。どちらかというと大変そうなのは日本人教員の方だと思います。ただでさえややこしい専門科目の説明を英語でしなければならないので、大変だと思います。

 

*同時に先輩が書いたこちらの記事も参考にしてください。

civra.hateblo.jp

 

6. 国際コースの入り方

日本人の学生で国際コースに入るには、まず工学部地球工学科を他の学生同様に突破する必要があります。国立大の合格発表の2日後ぐらいに京大で地球工学科合格者向けに国際コース説明会+選考があります。これに出席し、選考に通れば国際コースに入ることができます。国際コースには1学年あたり10人まで入ることができます。10人以上の場合、選考が行われ、その場で10人に絞られます。 英語で何人かの教員と集団面接する形式です。

そんなにビビる必要はありません。私の学年はそもそも6人しか希望しなかったので、全員合格になりました。他の学年は基本的に選考がありましたが、多くても15人ほどしか希望していません。英語で志望動機などを言う準備はしておいた方が良いと思いますが、前期試験or合格発表が終わってからで良いと思います。

 

 

7. 個人的な所感

[英語に関して]

私は大学入学当時、英語が最も苦手な科目でした。当然、英語は全く喋れませんでした。英語喋れないと人生まずいのかも、という漠然とした不安と好奇心から国際コースに入りました。

今でもたまに掘り返されますが、国際コースの面接の際「Why do you want to study in this course?」という問いに対して「My god said I should study here」と答えました。英語以前に落とされて当然ですが、志望者が6人しかいなかったので通してもらえました笑。今でも英語に対する苦手意識はめちゃめちゃあります。そんな感じの私でも、それなりに英語を扱い、卒業単位を揃え、3回後期からシンガポールに交換留学しています。

 

[進路]

英語以上に大事だったのは国際コースという環境だったと思います。この3年間、国際コースの先輩や留学生・友人から多くの刺激を受けました。尊敬している先輩達は海外の大学院に進学されました。博士課程に進む先輩や技官として官僚になった先輩もいます。一方で、よりグローバルに働ける環境を求め土木ではない道に進む先輩もたくさんいます。私は海外で働ける場として外資系企業(非土木)に来年から勤める予定です。

 

[留学生]

国際コースでの思い出はたくさんありますが、しいて上げるなら一昨年はインドネシア人の留学生の家に一週間ほど泊まりに行ったのはとても良かった。なぜか彼の同級生20人と登山し、キャンプしました。その日に20歳の誕生日を迎えた私は、クソ寒い山頂付近で彼らに祝ってもらいました。21歳の誕生日はシンガポールでボッチだったのでより懐かしく感じます(遠い目)。

 

他、なんか思いついたら書き足します。

 

 

 

 

8. FAQ

過去にブログやTwitterで聞かれた質問をまとめておきます。

 

Q. 英語はどのくらいできればいいですか?

A. 京大の入試を通れば大丈夫だと思います。ちなみに私は二次試験は半分以下だったと記憶しています。IELTSも一回生のとき受けたら5.5でした。

 

Q. 部活はできますか?

A. 不可能ではないです。しかし、先生はおすすめしてませんし、私もおすすめしません。両立できている人もいますが、どちらかがだめになる人が多いです。毎年ドロップアウトする人はたいてい、部活に精を出している人な気がします。

 

Q. 留学はできますか?

A. 毎年日本人の誰かしらは留学しています。交換留学であれば最近はカナダ・オランダ・アメリカ・シンガポール・韓国らへんに行っています。留年するかどうかは人によります。半々ぐらい。

交換留学に加えて、海外の大学院に進学している先輩もいます。

 

Q. もし英語の授業についていけなくなったらどうなるんですか。

A. 公式にはダメ、ということになっていますが、実際は年度末に日本語のコース(土木コース)に移動できます。卒業できない、ということはないので安心してください。

 

Q. どのくらい辞めますか?

A. 毎年1~2人辞めています。辞め方はそれぞれで、合わないと思って転学科する人、再受験して他の大学に行く人、日本語コース(土木コース)に移動する人様々です。

 

Q. 単位を取るのは大変ですか?

A. 日々のタスクをこなせば単位は来ます。日本式授業は伝統的に「授業は出なくていい。試験前だけ頑張れ」というスタンスですが、国際コースの場合「授業に出ろ課題やれ。その代わり単位はやる」というスタンスです。*個人の主観です。

授業にちゃんと出続けられるかが大事であって、英語力や地頭とかは二の次というイメージ。*個人の主観です。

 

Q. 研究室はどうなりますか?

A. 4回生になると研究室に配属され、そこで卒業論文を書きます。研究室は日本語コース(土木コース)と同様です。なぜか国際コースは研究室配属においてやや不利な扱いを受けています(まだ私は配属されていないのでこれ以上の言及は控えます)。留学生も国際コースの日本人も、土木コースの日本人と研究室に配属されます。ただし、どこの研究室に配属されようと、卒論は英語で書く必要があります。

 

Q. 国際コースの問題点はありますか?

A. あります。例えば、一般教養の人社に関しては英語で取らなければならないにも関わらず、まだまだ開講されている授業が少ないです。2017年の場合、人社の授業は全部で700ありましたが、その中で英語で開講されていたのはたったの90個でした。したがって、選択肢が少ない状況です。*人社=人文・社会系科目

他にも、なぜか第二外国語科目を一コマだけ多めに取らなければいけない、という微妙な決まり事があります。